記憶図鑑

気ままに更新。誤字脱字はスルーしてお読み下さい。

神聖なものが汚れること

 

アクセスして頂きありがとうございます。

壮大なネタバレですので、ネタバレが嫌な方は避けて頂くことをお勧めします。

 

 

 

興奮のあまり、文を書く手が止まりません。

 

...こういうとハリーは怒るのかな、なんて考えてしまいます。

まるで私の知り合いにハリーがいるかのように。

でもきっと、ハリーは怒る。

少なくとも私の中のハリーは怒る。

「フリックで文を打ってるだけで、なにが文を書いているだ。手で文を書いていなければ、それは文を書いているとは言えない。」なんてね。

 

 

さて、私は舞台『Defiled』を観劇しました。

後にも先にも一度きりですが。

それはそれは素晴らしい雰囲気で、まるで私はハリーとブライアンがいる図書館の本になった気分でした。

だからハリーと一緒に焼き尽くされたかったなぁ...とか思ったりもしています。

 

 

緊迫の中とはいえ、正直あれ程のクオリティーを見せられるとは思ってもいませんでした。

マイクやセット転換なしだからこその臨場感にとっつーの鬼気迫る演技と勝村さんの大人な演技。

脚本・演出・役者・衣装・セットの全てが完璧でした。

 

 

劇は、とっつーが爆弾を仕掛けるところから始まります。

その時から普段とは違う目つきや動作に心を掴まれました。

何かを思い立ったように突然走ったり、深呼吸をしたり。

落ちた爆弾を大事に抱える姿が特に印象的でした。

まるで本棚のあちこちに仕掛けられた爆弾ひとつひとつに命が宿っているような気さえしました。

ハリーはそれだけあの爆弾達に自分を託していたのだと思います。

 

その後ブライアンが現れても納得することはなく、必死にカード目録を守ろうとする姿が印象的でした。

読書家なとっつーだからこそ、あのハリーの狂った愛を表現できたのではないでしょうか。

とっつーは「ハリーの心情が理解できない」と言っていましたが、私には理解できているように見えました。

ハリーという役を、とっつーは完璧に演じきっていました。

 

 

私はそんなとっつーをどこか知っているような気がしました。

世界を正面から否定しどこか孤独に生きている人間...。

 

答えはすぐに分かりました。

伊坂幸太郎さんの作品『重力ピエロ』の春でした。

この作品はパンフレットでとっつーが挙げていますが、まさかそこのリンクがあるとは思ってもいませんでした。

私はたまたま観劇前まで読んでいたので、まるで小説が実写化したかのような謎の高揚感がありました。

 

というのも、『Defiled』は『重力ピエロ』でいう 春が決着をつける為に向かった学校のシーン にとても似ていたのです。

自分の今までの恨み辛みを全て晴らそうとする主人公と、それを説得しようとする不思議な力。

どちらも最終的には主人公の思い通りになるわけですが、そこに至るまでの道筋で重なっている部分が多くありました。

とっつーはこの作品を読んでいたからこそ、ハリーの心情を理解することができたのだと思います。

 

 

又、私が特に好きだったのはラストのシーンです。

自担の前で恐怖症(?)が発症してしまう事を恐れ、事前に大まかなレポには目を通していました。

そのレポで知ったものというのも、ほぼ「ラスト10分は心して見た方がいい」ことだけでしたが。

だから一層気合いを入れてラストのシーンを見ました。

 

ところが、ハリーとブライアンは和解して図書館の外に出るではありませんか。

ハリーはきっと大勢のメディアの前で自殺するのだと思いました。

でも、そんなことを考えていた次の瞬間、予想外の展開が待ち構えていました。

 

大声で怒鳴るブライアンの声と、ガタガタと鳴るドアの音が会場に響いたのです。

 

 

...そして、ハリーが再び図書館の中に戻ってきました。

 

まさかの展開で

私は本と共にハリーも爆発するのかと思いました。

 

その後ハリーがスイッチに手をかけた瞬間、客席には、1ミリも動かないような緊迫した空気が流れました。

演者と観客が一つになるとはこの事だと思わせる空間でした。

 

でも、ハリーがスイッチを押しても爆弾は爆破しなかったのです。

 

まさかですよ、まさか。

 

図書館の中に戻ってくるだけでもサプライズのような感じだったのに、更にここまで仕掛けるのかと。

 

気付けば私はハリーの虜でした。

 

 

私がそんな事を思っていたとき、突然銃弾の飛ぶ音がしました。

 

そして、ハリーの胸は赤く染まっていたのです。

 

私は急な展開に驚くと同時に、その後のとっつーの演技力に感激しました。

とっつーは本当に素晴らしい舞台役者だと、改めて思いました。

 

しかし、そんな感情に浸っていられるのもつかの間でした。

 

 

本に全てを賭けてきた人生に終止符を打たれそうなハリーが必死に自分と戦った末、滑らせるように投げたリモコン。

ハリーの手から離れたそのリモコンが、ハリーの人生の全てであったこの図書館、そしてこの本達とカード目録を確かに消したのです。

 

 

その演出がまあ“私好み”といいますか、心からこの舞台を観に来て良かったと思えました。

 

 

だからこそ、どの雑誌を見てもそのシーンの画像がないのが本当に残念です。

規制がかかってたりします?

...そんなことはないとは思いますが、カメラマンさんだってカメラのレンズ越しとはいえ舞台を見ているはずですから、あの最後の数秒の良さを体感しているのではないでしょうか。

関係媒体の方、お願いだから載せてください。

暗くて顔がよく見えないとかあると思いますが、私はそれでも記録として残すべきだと思います。

ここが好きなのは私だけじゃないはずです。

 

 

 

まとめると、とっつーの本気の演技は本当に素晴らしいので、全人類が見るべきだと思いました。

 

 

ただ、私は何度も変な幻覚を見たので(初めて)、相当気を付けた方が良いと思いますよ...

なにせあの顔面が目の前にあるんですから。

 

 

 

 

 

長くなりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。